体幹部分がパフォーマンスに与える具体的影響についての一考察~スクワットジャンプのシミュレーションモデルにおいて~




約2ヶ月ほど前にツイッター上で下記のような発言をしました。

 

 

これを考えるのに丁度良さそうな研究を読んだので紹介してみたいと思います。取り扱う文献はコチラです。

 

Influence of Lumbar Spine Extension on Vertical Jump Height During Maximal Squat Jumping

 

腰椎伸展と脊柱起立筋群が垂直飛びにどの程度影響を及ぼすかという研究です。胴体部分を固めることで無駄が無くなりパフォーマンスが上がるという説明が、実際のところどうなのかを考える一助になればと思います。

 

概要

 

現実的な問題として、ある部分を全く使わないで体を動かすなんて器用なことは出来ません。従って、8名の被験者に垂直飛びを行ってもらいそこから測定したデータを基にモデルを作成。シミュレーションを行ったという内容です。

 

モデルについては下記の図をご覧ください。

 

 

一番下のSJ WTEが腰椎と脊柱起立筋群の伸展を伴わないモデルです。他のものと比べて腰から上が動いていないのが分かります。その結果がどうなったかはコチラをご覧ください。

  

普通にスクワットジャンプを行った際は37.6㎝だったものが5.4㎝(14%)低い32.2㎝に減少しております。この結果は下記の図の通り、腰椎と脊柱の伸展が無くなったことで仕事量が減っているのが原因と考えられます。

 

(注)この研究におけるジャンプ高とは、踵を地面に付けた状態での重心位置と最大ジャンプ時の重心位置の差を指す

 

 

 

具体的に申し上げると脊柱起立筋群で119.5J生み出していたものが0になっており、全体の仕事量がその分減少しております。全体の約2割を胴体部分で生み出していたと言えそうです。

 

これは反動を上手く使えるかどうかに結果が影響される垂直飛びという動作を選択しているのが要因の一つと考えられます。

 

私見

 

あくまでシミュレーションの結果ではありますが興味深い内容です。全体の約2割と私が予想していたよりも胴体部分は大きな力を発揮していました。

 

この結果に対してどれだけ重きを置くかは人によるでしょうが、8割近くを四肢が担っています。日本だとなぜか胴体部分を鍛えれば全て上手くいくみたいなことを言う人を見かけますが、どちらがより重要かは明らかです。

 

そして、体幹を鍛えることを推奨している方たちが述べている、胴体部分を固めて動かないようにするとロスが無くなりパフォーマンスが上がるという説明に対しては疑わしいと言わざるを得ません。

 

勿論、垂直飛びという限定された動作を全てに当てはめる訳にはいきません。しかし、世間一般に流布されている内容からは全く逆の結果です。体幹を鍛えるとパフォーマンスが上がるって本当にそうなの?という批判的精神は常に持ち合わせておいた方が良いでしょう。

 

それらを考慮した上でプランク等をやる理由があるのならばそれはそれで尊重されるべきです。しかし、胴体部分を同じ姿勢に保つだけのエクササイズを行うよりも他に優先するべきことが沢山あるだろうと個人的には考えております。

 

何といっても最優先は競技練習です。わざわざ筋トレを追加するならば、腕立て伏せを行えば腹直筋以外にも胸筋や肩関節周りの筋肉を同時に鍛えられます。他にもルーマニアンデッドリフトならば脊柱起立筋群以外にもハムストリングスを命一杯鍛えられます。

 

どうしても胴体部分のみを鍛えるエクササイズをやりたいのならば、選択する理由を明確にしておくべきでしょう。

 

今回のポストが限られた時間と体力を有効に使うにはどうすれば良いのかよく考えるきっかけになれば幸いです。

 

参考文献

 

Yoann Blanche

Influence of Lumbar Spine Extension on Vertical Jump Height During Maximal Squat Jumping

J Sports Sci.2014;32(7):642-51. doi: 10.1080/02640414.2013.845680. Epub 2013 Oct 9.