ベストなトレーニングの割合は?




1回目の「ゆっくり走って本当に速くなれるの?」と2回目の「無酸素領域を鍛えるメリットについて考えてみる」で高い強度のトレーニングの有効性をお話ししました。余り取りざたされませんが、高い強度のトレーニングとは一体どれくらい行うのが適切なのか。もしくはトレーニング全体の何%を占めるべきなのかというお話をしたいと思います。

それを考える際に一助になるであろうPolarized Trainingという考えをご紹介いたします。

Polarized Trainingとは何かと言うと、トップレベルの持久系アスリートの練習内容を分析したら低強度と高強度の割合が80:20くらいになったというものです。低強度と高強度という2つの両極端なトレーニングを組み合わせたトレーニングモデルと言えます。

しかし、トップレベルのアスリートがやっているからと言って正しいとは限りません。たまたまそうであっただけという可能性もあるので、下記のようなStögglの研究があります。

 

概要

・平均VO2max62.6±7.1mL/min/kgのランナー、サイクリスト、トライアスリート、クロスカントリースキーヤー計48名を対象とした研究。

・対象者を下記の4つのグループに分け9週間のトレーニングを課した。

HVT(high-volume low-intensity exercise)
THR(lactate threshold)
HIIT(low-volume high-intensity interval training)
POL(polarized” training)

・トレーニングの量と強度に関してはグラフを参照
A:HVT
B:THR
C:POL
D:HIIT

 

結果

・VO2maxの変化は下記の通り。

HVT 60.5±9.4→62.1±9.8(2.6±4.5%向上)
THR 63.2±4.6→60.8±7.1(4.1±6.7%低下)
HIIT 63.7±7.1→66.6±5.8(4.8±5.6%向上)
POL 60.6±8.3→67.4±7.7(11.7±8.4%向上)

被験者の平均VO2maxに違いがあるとは言え、平均11.7%向上したPOLのトレーニング効果が目立ちます。様々なエネルギーシステムを鍛えるのが重要なのか、高強度短時間の練習だけではなく量の多さが良い影響を与えるのか、様々な理由が考えられ何がこういった結果をもたらすのかこの研究だけでは分かりません。

しかし、高い強度のトレーニングだけではなく、低強度から高強度まで組み合わせてトレーニングを行った方が効果は高いと言えそうです。

ちなみに、この研究における高強度とはHRmax90%以上を指します。パワートレーニングで言えば大体FTPぴったりから全力までの強度が合致すると思われます。ZONE4にはFTPより少し下の強度も含まれますので、そこを考慮するとZONE4~7の割合が全体の25%くらいになると丁度80:20になるのかなと個人的には考えております。

私がメニューを作る際はそれくらいの範囲に収まるように計算しております。そして、その枠組みの中で現在の状況と目標に照らし合わせて中身の調整をしております。

一所懸命にトレーニングをしているつもりだけれども上手く行かない方は、一週間とか一か月という単位で自分が何をやっているか確認してみるのをお勧めします。その際に今回の記事がお役に立てれば幸いです。

実際どういった具合にメニューを作るのか興味のある方は、8週間FTP向上トレーニングプランという形で下記URLから一般販売しておりますので是非ご検討ください。いきなりコーチングを受けるのはちょっととか、パワーメーターを使ったメニューってどんなのがあるのかなと思っていらっしゃる方にお勧めしております。

じてトレショップ 南部博昭 8週間FTP向上トレーニングプラン

もっと大きな枠組みについては伊藤コーチが下記のタイトルで記事にされていらっしゃるので、併せてご参考頂ければより理解が深まると思います。

・目的目標を考慮したトレーニングを考えよう PART3 3つのサイクル編

 

参考文献

Stöggl T

Polarized training has greater impact on key endurance variables than threshold, high intensity, or high volume training

Front Physiol, 2014 Feb 4;5:33.