自転車選手は冬作られる!その②~シーズンの振り返りについて~




前回、冬場にやるべき事とプログラムデザインについてまとめました。(こちらの過去記事をどうぞ自転車選手は冬作られる!その①~冬場のプログラムデザインについて~)

本日はもう少し突っ込んだ内容についてお話をしたいと思います。冬場にやるべき事の最初に挙げたシーズンの振り返りについてです。寡聞にしてこの話題について触れているモノを余り見たことがありません。前回の記事と併せてご参考いただければと思います。

 

まずは、今回のブログ記事についてデータの提供を快く了承していただいた、イナーメ信濃山形でJPTに参戦しているクライアントの高杉さんに感謝の意を表します。貴重なデータを公表させてくださり誠に有り難う御座います。

 

さて、今回主に使用するのはWKO4のPD Curveというグラフです。これは過去のデータから最大パワーを予測してくれるというグラフです。予測値なので実測値と異なる点には注意が必要ですが、全体像を把握するには非常に便利です。WKO4をお持ちでなければTraining PeaksのPeak Powerでも代用できると思います。

前置きが長くなりましたが本題に入ります。

 

ピークパワーを時系列順に並べてみよう

こちらはプレシーズンの1/1~3/31まで、全日本選手権までの4/1~6/30、シーズン最終戦までの7/1~11/23のPD Curveを並べたものです。今シーズンのAレースは6月に行われる全日本選手権。そして、11月の沖縄210㎞です。それらを踏まえるとこのグラフから幾つかの事が分かります。

1、全日本選手権に今年のピークを持ってこれた

2、もう一つのAレース沖縄ではそこまで上げ切れなかった

3、3月の終わりに有酸素能力がほぼ完成している

それでは各項目について詳しく見て行きます。

 

1、全日本選手権にピークを持ってこれた

グラフの黄色の線が短時間から長時間まで最も高い数値を表しています。全日本のある時期に今年度のピークを記録していることが分かります。それは次のグラフでも確認できます。

こちらはCTLとTSB、それと1分・5分・20分のベスト5を表示させたグラフです。PMCの詳しいバージョンと思ってください。図中の点が各パワーのベスト5です。全日本の前と沖縄前に集中しているのが見て取れます。従って、今年度のピーキングは上手く行ったと言って良さそうです。

今年度のピーキングが上手く行ったという事は、今年度のトレーニングスケジュールを踏襲すれば、来シーズンも同じような時期にピークを迎えることが出来そうだと考えられます。

実際はお仕事や家庭の事情、体調といったものを勘案しながらメニューを作成する訳ですが、おおよその所は前年度に倣えば良いと言えます。選手としてもコーチとしても去年成功したのだから今年も大丈夫という安心感が得られます。

もし、狙ったレースとは異なる時期にピークを付けたのであれば、トレーニングのスケジュールを見直す必要があるでしょう。

 

2、もう一つのAレース沖縄ではそこまで上げ切れなかった

こちらは様々な原因が考えられます。単純にシーズンの終盤で疲れ切っているというのもあるでしょうが、一番の問題はレーススケジュールが過密だったのではないかと考えています。

全日本が終わった後も毎週のようにレースがあり、その他にも沖縄対策として合宿があったりとまとまった休みを取ることが出来ませんでした。来シーズンはもう少しレース数を絞り、リフレッシュしてから体を仕上げて行くといった工夫が必要だろうと話し合っています。

単純に練習量(CTL)だけならば沖縄前の方が高いのですが、パフォーマンスという視点を加えるとまた違った見方が出来るという例と言えます。

 

3、3月の終わりに有酸素能力がほぼ完成している

ここでもう一度グラフを見たいと思います。

 

グラフが小さくて見づらいと思いますが3つの線が重なり始めるのが10分です。そして、40分位まで重なったままです。このグラフから3月中にすでに有酸素能力が仕上がっていたということが見て取れます。逆に言えば、有酸素能力に関しては3月までにシーズンのピークに近いパワーを出すくらいになっていないと間に合わないという事です。

ここからオフシーズンの数値目標が見えてきます。2018年の3月の時点で今年を上回るのが目標。少なくとも同レベルの有酸素能力を達成しなければならないことが分かります。そうすると、今年のパワーから逆算して2月までに幾つくらい。1月までに幾つくらいという具体的な目標設定が可能になります。

ただ何となく有酸素能力のベース作りが重要と考えているのと、具体的な数値として捉えているのでは大きく異なります。是非、一度シーズンを振り返り何をしなければならないかを再確認していただくのをお勧めします。

 

以上、ざっとですがシーズンの振り返り方についてまとめてみました。細かく見ようと思えばもっと色々出来ますが、ピークパワーを時系列順に並べるだけでもこれくらいの事は出来ます。前回に比べて〇ワット高いとか、左右差が何%といった数値を追うのも良いですが、私にとってパワーメーターの最大の利点はトレーニングの全体像を把握できることです。

パワーメーターは自身のトレーニングが適切に行われたのかどうか。上手く行かなかったとしたら何が足りなかったのかといった事をより詳しく見えるようにしてくれるものです。木を見て森を見ずにならないよう注意しながらトレーニングを楽しんでいただければ幸いです。

なお、過去にベストなトレーニングの割合は?という記事をまとめています。併せてご覧いただき冬場のトレーニングのご参考になればと思います。